FUUSHIKAのある暮らし-小暑

大らかで、柔らかく。健やかで、逞しい。
手を添える人も、いのちを育む大地も。


段ボールの中で、小さく息をしている野菜たちに初めて触れたとき、私が感じたこと。

 ひんやりと少しだけ湿った段ボールを開けた瞬間、目に飛び込んできたのは、美しいフリルをまとったレタスや、陰影と質感豊かなケールの葉っぱたち。それらをそうっとめくると、中で輝く茄子や可愛い姿のじゃがいも、ズッキーニたちと目が合った。

ビニール袋で個包装されていない彼らは、まだ少し土がついていたり、瑞々しい輝きを放っていたり、ついさっきまで大地と繋がっていた気配を伝えてくる。そこには、逞しく健やかな力が満ちていた。

はやる気持ちを抑えて、ひとつひとつの野菜を手に取り、確かめる。山や川を吹き抜ける爽やかな風と、朝露に濡れた瑞々しい畑の風景が目に浮かび、心地よい余韻を楽しんだ。



2022年7月。私は、森さんが手がけるフウシカオーガニックの宅配野菜を始めた。

本当のことを言えば、自分と家族が食べる野菜は、自分の手で育ててみたい。自分にとって心地のよい働き方、暮らし方を求めて、東京から八ヶ岳の麓に移住してから、ずっと憧れていたことだ。しかし、昨年の春に娘が産まれ、生活は大きく変わった。共働きで忙しく働いていた頃よりも、私が自由に使える時間は無くなった。玄関前の草取りさえ間に合っていないのに、自給自足なんてとても…。

そんな中、出産子育てをきっかけに新規就農し、環境再生農業を志す森さん夫婦との出会いに恵まれた。二人の溢れんばかりの想いに触れ、目指す未来に深く共感した。


 「タネ、ヒト、ミライ」。


段ボールを開けた時、目に入ってくるフウシカオーガニックのメッセージ。
新聞紙と再生紙の小袋以外の、唯一の梱包材だった。

森さん夫婦と出会い、当然無理だと諦めていた「野菜の自給自足」を思い出した。子育てという尊い経験だからこそ、それを言い訳に、未来に繋がる暮らしを諦めたくない。

委ねる、ということ。
出産という経験が、私に教えてくれたことだ。一人でどうにかしようとせず、同じ未来を向いた誰かと手を繋いでみたい。固く閉じられていた「自」という枠が柔らかく広がり、急に肩の荷が下りた。パッケージで確認する地産地消とも違う。もっと温かくて、楽しくて、心地の良い人と人の輪。フウシカオーガニックと、そんな関係を楽しんでいけたら最高だ。

私の小さな暮らし改革は、どんなワンダーを連れてきてくれるのかな。目の前でよちよち歩く小さな未来と共に、これからの日々を楽しんでいきたい。

written by Chiaki Nakamori

 

「2022年7月初 宅配野菜 Mサイズ」

・ケール・ミックス(全て固定種)
野菜の王様で全野菜の中で栄養価もトップクラス。茎は取り除いて、葉を細かく千切るのが一流レストランの料理の仕方。サラダや、油でグリルも実に美味しい。
・レタス「ロロロッサ」「バターレタス」 (固定種)
赤いフリルが特徴的なロロロッサ。緑がバターレタス。春のレタスは綺麗で水気もあって美味しい。ロロロッサはシャキシャキ歯ごたえもよく、サラダの彩りや、サンドイッチに、緑のバターレタスは肉厚で味も濃く、サラダの主役や炒めにも。
・茄子「真黒茄子」(固定種)
フウシカが最もこだわる野菜の一つ。皮は薄く柔らかく食味抜群。しかし成長が遅く不揃いで、病気にも弱いため栽培が難しい。皮が柔らかいため傷つきやすく流通にも不向きで直売所等でも殆ど見ることはない。
・ズッキーニ(固定種)
メロンを連想する甘さ、生でさっぱり食すのもお勧め。煮崩れしないから炒め物やカレーにも◎かわいい外見とは裏腹の万能選手。
・ニンジン 「ベターリッチ」(交配種)
少し早取りなので長細い円筒形。肉質固く、根・芯ともに濃鮮紅色。カロテン含量が多く、甘みがありニンジン臭が少ない。加熱調理のほか、ジュースや生食など。
・じゃがいも「デストロイヤー」
今年度の新ジャガ。中身は少し濃いめの黄色。澱粉質が多く濃厚タイプ。さつまいもを連想させる柔らかな甘味としっとりとした質感は、塩のみでも十分。小さめなので丸ごとフリットがオススメ。
・ニンニク「青森6片」
今年度の初物!昨年の厳しい冬を乗り越え育ってくれました。生ニンニクなので鮮度よく瑞々しい。無農薬のニンニクはほとんど手に入らない貴重な品です。フウシカの野菜は油と相性の良いものがあるので、ニンニクと一緒に調理して、香りをお楽しみください。

letter from FUUSHIKAorganic