FUUSHIKAのある暮らし-大暑

朝晩、窓から感じる風がひんやりとしてきた。ついこの間始まった八ヶ岳の夏は、あっという間にその真ん中を過ぎた気がする。
短く濃い、高原の夏。今この瞬間を逃すまいと、太陽のエネルギーを最速で成長に変えていく、植物たちの生命力には頭が下がる。

今日は金曜日。フウシカの宅配野菜が届く日だ。


娘はもう知っている。その少しひんやりとした箱の中身のことを。
早く開けてと言わんばかりに、段ボールに貼られた宛名シールをほじって何か言っている。

「今日は何が入っているかな、楽しみだね。」
箱を開けた途端、今日もまた、小さな手に先を越された。

向かった先は、赤く輝くミニトマト。



前回の宅配で味を占めたご様子で、躊躇なく一口で頬張る娘。
どちらかというと食べ物には保守的と思っていたので、ヘタごと口に放り込んだ時にはびっくりした。

遅れて私も一粒食べて、2週間前とはまた違った味になっていることに驚いた。前回よりも、何かがぎゅっと詰まったような。酸っぱさよりも旨みが立って、草いきれを思わせる、夏の味。

それから段ボールの中を見渡して、少し慌てる私。
トウモロコシがいるではないか!この方々は鮮度が命。「朝、お湯を沸かして畑に行け。」だ。(それは枝豆だったかも?)どちらにせよ、善は急げ。娘のお昼ごはんを作りつつ、浮足立ちながらガスコンロにお湯を沸かす。


我が家、トウモロコシは、蒸す派。
初めて食べたフウシカのトウモロコシは、土のエネルギーを一粒一粒に蓄えたような野性味を感じた。ぎゅっと粒が引き締まり、甘みと共に濃い素材の旨みが口いっぱいに広がる。娘も生え立ての小さな前歯で懸命にかじりつき、いつまでもむしゃむしゃと離さない。
あとから森さんに農薬はもちろん肥料も使っていないと聞き、なんだか妙に納得。

初めて食べてファンになった、フウシカの真黒(シンクロ)茄子。
輝く濃紫の皮は薄く、フライパンで蒸し焼くと中はトロトロになる。2週間前に届けてもらったそれと比べると、ずいぶん大きく太った。スーパーで目にする野菜は一年中同じように形を揃えて並んでいるように思うけど、こうして宅配野菜を始めて、同じ野菜でもほんの数日で姿を変えることに驚く。

まるで目の前にその豊かな畑があるように、敏感に命の成長を感じることができる。
我が家の暮らしと食卓は、確かに大地と繋がっているんだなと、うれしく感動する。

夏が終わる前に、娘とフウシカオーガニックの畑に行ってみたい。大好きなトマトの畑を見て、娘はどんな反応をするのかな。そんなことを想像して、胸が躍った。


written by Chiaki Nakamori

 


「2022年8月初 宅配野菜 Mサイズ」
・ケール・ミックス (全て固定種)
・トマト(固定種)メニーナ
・ミニトマト (ステラミニ)固定種
・茄子(固定種)真黒茄子
・キュウリ(神奈川在来種)相模半白胡瓜
・ズッキーニ(固定種)UFOズッキーニ
・インゲン(固定種)アルプス
・ニンジン (交配種)ベターリッチ
・とうもころし(交配種)キャンベラ
・じゃがいも きたあかり
・ピーマン(固定種)カリフォルニアワンダー
 
topics:「真黒茄子(シンクロ茄子)」
フウシカが最もこだわりのある野菜のひとつ。皮は薄く、やわらかく、食味抜群です。全ての料理に合います。しかし、その品質とのトレードオフとして成長が遅く不揃いで、病気にも弱いため栽培が難しいです。皮が柔らかいため傷つきやすく流通にも不向きで、スーパーや直売所でもほとんど見ることはありません。品種としての歴史は古く、現在よく見る千両なすの先祖にあたり、古くから日本で愛され大切にされてきた極上の茄子です。茄子の保存は濡らしたタオルやキッチンペーパーで包み、野菜室に入れてあげると長持ちします。

letter from FUUSHIKAorganic