FUUSHIKA user interview -"way to organic life"#1 後編



navigator#1 清水友保さん、莉奈さん、瑚々夏ちゃん

・お住まい:山梨県北杜市
・利用商品:宅配野菜 市内配達 定期便(週1回)

〈前編を読む〉

自らの経験をもとに、自然と共にあるサロン「sora et ATELIER」を営む清水友保さん、莉奈さん夫妻。身になるものへの安心安全、未来の環境を願う想いは、出産と子育てを機にさらに高まった。後編では、二人にとってのフウシカオーガニックと、その魅力について聞いた。

心と体をつくるもの

フウシカオーガニックの野菜は、他と比べて決して安くはない。一般的なスーパーで売られている野菜の価格に慣れた私達が、日々の生活に取り入れることを躊躇するのは当然とも思える。そのことについて二人に尋ねると、返ってきたのはあまりに明快な答えだった。

「お金は投票だと思っています。安さだけが価値ではない。作られている背景、作り手のこだわりへの投票。子どもが生まれ、より一層そういう意識に変わってきました。それに、自分たちの選択で作り手が苦しんだりするのは、心地の良いことではない」と話すのは莉奈さん。「いつもの野菜を森さんの野菜に変えることは、つい買いすぎてしまうおやつを我慢するのと同じくらいじゃないかな。自分たちの身になっていくものに妥協はできないです。どんないい物を所有していても、自分自身が健康でなければ意味がない。年を重ねていくことで、親としても経営者としても、より健康でいなければいけない立場になってきました」と友保さん。心と体は日々食べているもので作られる。『身土不二』と言って、食べ物が作られる自然環境に在るエネルギーは、それを食した人の心と体のエネルギーになる。命を養う大切な時期の子どもにも、たくさん食べさせたい。そう語る二人の言葉には、ご自身を通して感じ得ている確信のようなものがあり、説得力に満ちていた。

一物全体、素を認める

フウシカオーガニックが育てている野菜は約50種類。土中バランスを考慮しながら、自然の巡りと歩調を合わせて畑の勢力図も移り変わっていく。その中でも、フウシカのレタスが大好物な友保さん。「口に残る変なえぐみが一切なくて本当に美味しい。塩とオリーブオイルだけでひたすら食べられます。この前食べた白菜も、びっくりするくらい美味しかった。それに森さんの野菜は1週間後に食べても新鮮で、萎びたり嫌な腐り方をしたりしない。むしろ一段と味が詰まっていくような感じ」と話す。野菜の美味しさを尋ねると、止まることなく二人は頷き話す。「素の味がしっかりしているから、娘はケールなんかも生でぽりぽり食べます。料理は蒸すだけ、炒めて塩だけ、素揚げして塩だけ、とか。以前よりシンプルになりました。皮や根っこまで美味しく食べられるからゴミも出ないし、結果的に手間が省けて助かっています」と莉奈さん。

一物全体、まるごと食すことができる幸せ。それは野菜に宿る素材の力があってこそ。そう思った時、「sora et ATELIER」について語った二人の話と繋がった。「今日よくしたい、明日までによくしたいって思いがちだけど、それよりも、環境に配慮しながら自然界のペースで髪や身体そのものをより良くしていきたい。何かを足すのではなく、素のものをよくしていくことを大切にしたい」

清水夫妻の手掛ける「sora et ATELIER」と、森夫妻の育てるフウシカオーガニック。両者は人も含めた自然を、ありのままで受け止め、慈しむ心で通じ合っている。「sora et ATELIER」について聞いた前編を読む

循環する暮らし

二人が感じているフウシカオーガニックの魅力。それは宅配という形にもある。定期便にすることで、他では殆ど目にすることのない固定種の伝統野菜との出会いも楽しめ、地域や環境のことを考えるきっかけにもなっている。「どう食べるか迷ったときは、薫ちゃんに聞いたらなんでも教えてくれます」と莉奈さん。また清水家は、フウシカオーガニックが取り扱っている塩や醤油などの調味料、ふりかけやチョコレートなども愛用中。ぶれない視点でオーガニックな暮らしを提案してくれる点も魅力だという。
「森さんが勧めてくれるものに間違いはないです。完全に信頼しきっています(笑)野菜とも相性が良く最高の贅沢。夏に頂いた『緑ナス』初めてだったから薫ちゃんに聞いたら、炒めて醤油がいいよって。それでやってみたら最高に美味しかった。花ズッキーニのフリットも、教えてもらってすぐやりました。料理する人への思いやりに溢れていて、その気持ちにほっとします」

フウシカの野菜を食べるようになってから、堆肥づくりを始めたという莉奈さん。「安心安全なものだから、土に還して再び栄養にしてあげたいなと。皮や根っこもぎりぎりまで食べるから本当にゴミは少ないけれど、それでも捨てるしかないヘタなどは庭の畑に戻しています」

食べるという行為は、無意識にも多くのいのちと深く結びついている。自然環境、人、過去と未来とも繋がるその糸に気が付くと、自分自身とその暮らしは、大きな循環の一部であることを思い出すことができる。その感覚は、柔らかく大きな手の温もりのようでもあり、隠れていた罪悪感との対峙でもあるけれど、平凡な日々の襟を正してくれる、尊い喜びに他ならないと思う。(完)



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ロングインタビューにお付き合い頂いた清水さんご一家、ありがとうございました!

取材・文・写真/ "種と風広報舎" Chiaki Nakamori