FUUSHIKA user interview -"way to organic life"#4

navigator#4 竹村洋子さん
・お住まい:東京都渋谷区
・利用商品:宅配野菜 定期便(隔週)Mサイズ
・利用歴 : 4年

東京都渋谷区のマンションに、二週間に一度届く八ヶ岳からの贈り物。少しひんやりとした段ボールを開けると、ついさっきまで大地と繋がっていた野菜たちと目が合う。竹村さんは、森夫妻が有機農家として独立して間もない頃、共通の友人を介して二人に出会った。それ以来宅配野菜の定期購入を続けて今年で4年目。フウシカオーガニックの野菜を「色んな意味で在ると満たされる存在」と語る竹村さんに、森夫妻との出会いと、宅配野菜を続けている思いを聞いた。

忘れられない光景~ 空と山、大地と繋がる農と食卓。

「東京から山梨に移住して就農し、農薬も肥料も使わず野菜を作っている友達がいる。会ったら絶対楽しいから一緒に行こう!」と竹村さんを誘ってくれたのは、薫さん(フウシカオーガニック)がかつて東京 三鷹のシェアハウスで一緒だった共通の友人。その子の勧めなら間違いないと、竹村さんは当時4歳の息子 そうたくんを連れて山梨県北杜市にある森さんの畑を訪れた。

東京から車で約2時間。段々畑の先に悠然とそびえる甲斐駒ヶ岳を前にした時、同じ日本にこんなにも美しい場所があったのかと息を呑んだ。畑に踏み入ると、それまでスーパーで見ていたものとは色や形、存在感がまるで異なる多様な野菜たちがのびのびと生きている。「生でも美味しいよ」と勧められ、半信半疑でピーマンをもぎってかじった時、タネごと食べても苦味を感じずピーマンを心から美味しいと感じた。そうたくんも生まれて初めての畑でトマトを採ったり虫を捕まえたり。その日をきっかけに東京でも虫捕りに目覚めたという。お昼は森夫妻の友人シェフがやって来て、採れたての野菜で料理をふるまってくれた。畑から一時も途切れることなく繋がっている食卓は、テーブルに飾られた花も料理も、今でも忘れない光景として竹村さんの中に灯っている。

「初めて食べた緑色の茄子に衝撃を覚えました。こんなに鮮やかで美味しいものが自宅に届くなんて。そこまで野菜が得意ではなかった息子も喜んで食べていたのを見て、すぐに頼むことを決めました」と当時を振り返る。

満たされるから、食べ過ぎない。

フウシカオーガニックの野菜は、標高800mの山梨県北杜市の畑に作物が実り始める梅雨頃から、霜が降りる11月中頃までの約5か月間、二週間おきに竹村さんの自宅に届けられる。6月に入り最初の定期便が届くと「今年もフウシカの時期が来たね!」と、竹村家の食卓は盛り上がる。小学一年生になったそうたくんは「ピーターラビットの絵本みたい!」とフサフサの葉っぱ付き人参が大好きで、昨日も学校から帰ると早速取り出して、テレビを見ながらぽりぽり食べた。

「食が細い息子でも、フウシカの野菜をきっかけに人参、きゅうり、トマトだけは食べてくれるようになりました。フウシカのキュウリはもはや宝です」と竹村さんは笑う。


フウシカの野菜で作る食事は、不思議なことに食べ過ぎないのも良い所。

「疲れている時とか、頭では良くないと分かっていても、つい食べ過ぎてしまうことってありますよね。でもフウシカの野菜で作ると、夫も私も満足して食べ終えられるんです。夫も食事中『今日のはフウシカの?』と嬉しそうに聞いてくれて、味だけでなく特別な存在感を感じて楽しんでいるようです」

日本に在るものを、守る。

竹村さんがオーガニックを意識するようになったきっかけは、お父さんが起こした一つの行動だった。ある時原因不明の体調不良が続いていたお父さんは、それまで好んで飲んでいた緑茶を止めた。多くの緑茶栽培は農薬とは切り離せない。その事実と身体への影響を学んだ結果の決断だったという。あれほど緑茶が大好きだったお父さんの決断に驚き、自身でも農薬と食の安全について学んだ竹村さん。何よりもその後のお父さんの快調ぶりを目の当たりにし、一つの確信を得たという。そうたくんが生まれたタイミングでもあり、家族には出来るだけ安全な食べ物を与えたいと思うようになった。フウシカオーガニックが大切にするタネ本来の力を活かす自然栽培の考え方にも、深く共感した。


「フウシカの野菜なら、少しくらい土が残っていても気にならないし皮を剥いたりしなくて良いのが助かります。皮に栄養があると聞くし、タネごと安心して食べられる。一つ一つの野菜の生き生きとした姿にも惹かれます」と竹村さん。

フウシカオーガニックが固定種のタネを大事にしていることも応援を続ける理由だ。

「色々なことに受け身になって、無意識に手に取りやすいものを選ぶ生活を続けていたら、子どもたちが大人になった時、今よりもっとそういったものに囲まれてしまう。本来得られる栄養や安全が知らないうちに脅かされることを、簡単には受け入れたくないです。だからと言って誰かを批判するのではなく、微々たる力でも自分にできる『購入』で昔から日本に在るものをちゃんと守っていこうとする人たちを応援したい」と竹村さん。

「安全で栄養があって、心と体が一緒に満たされるもの。それは人間だけではなく地球にもやさしいもの。子どもたちが大人になった時、そういうものが身近にいっぱいあってほしい」と思いを語った。

感動を、応援で還す。

3年前、竹村さん家族はフウシカオーガニックがイベントとして行っている田植えに参加するため、再び北杜市を訪れた。田植えは家族全員初めての体験。最初は緊張していたそうたくんも穏やかな時の中で少しずつ解放され、最後にはカエルを追いかけて遊んだ。どこまでも田畑が続いた先にそびえ立つ山々の景色も、手と足で感じる泥の感触も、流れ続ける水路の冷たさも、泥んこになって遊ぶ子供たちの姿も、どれもこれも全部、この先ずっとこの国に残ってほしいと願う大切なものだった。家に帰ってからは、それまで何気なく食べていたお茶碗のご飯一粒に物語を感じ、自分も携わったフウシカ米を食べた時には、田植えの日の情景が目に浮かび余計に愛おしく感じたという。

 
フウシカの宅配野菜を始めて早4年。森夫妻が目指す農業への共感、自分と家族の健康、夫と子どもがおいしいと喜ぶ顔。竹村さんが大切に思うことが何層にも重なり、フウシカの野菜は今日も暮らしと共に在る。

「これから先もずっと応援していきたいし、続けていってほしいです」と話す竹村さんは、スポーツや映画などでも、自分以外の誰かが成功している姿を観ると感動し、応援で還したいという。現在はそうたくんが野球を始めたことで、練習に試合に観戦にと、週末は野球一色の生活。愛しい家族には最上級の、フウシカオーガニックと推しのプロ野球チームにも、心からのエールを送る。(完)


オンラインインタビューにご協力いただき、ありがとうございました!



取材・文/"種と風広報舎"Chiaki Nakamori